心不全治療薬・昇圧薬



心不全とは

心筋収縮能低下また、心筋拡張機能が何らかの原因で生じ心筋拍出量の低下、
臓器血流低下、血圧低下が認められる 

それに反応して神経体液因子の活性が生じ レニン―アンギオテンシン系Renin-Angiotensin System;RAS(血圧の上昇を引き起こす)の賦活化、アルドステロン腎においてNa+と共に水分をを体液側へと流入させる(血圧の上昇に結びつく)自律神経の交感神経の賦活化、
(血圧上昇へ:自律神経薬の項参照) 血液中の水分量は増加、Na貯留によって
うっ血症状を引き起こし、末梢血管の収縮を引き起こす 
水分、Naの増加、うっ血は心臓に流入する血液の絶対量を増加させる 

そのため心臓に入ってくる血液の処理を行う心臓の負荷は大きくなる 
これを心不全における前負荷と呼ぶ、また交感神経系の賦活化やRASの賦活化による血圧上昇は
末梢においても生じ心臓が送り出す血流に対して負荷がかかってくる 

この症状を 後負荷といい 前述の前負荷と併せて心不全の病態の中核であると言える


ジギタリス製剤

基本的には心不全の状態は強心力を高めることが必要なので 
ジギタリス製剤は心臓に作用し心拍出力を高める 
その機序はNa−Ca交換機構を通し細胞内Caを増加させる(陽性変力作用)
ただしその製剤の大部分が腎代謝型であるため、腎機能に障害がある場合は肝排泄薬であるジギトキシン:商品名ジギトキシンを用いるまた、血中濃度の推移など
Side effectsの防止に対する留意が必要である


ジギタリス製剤の種類と排泄経路

種類(成分名) 商品名 投与経路 排泄経路
ジゴキシン ジゴキシン
ジゴシン
経口
静脈注射
腎臓
ジギトキシン ジギトキシン 経口 肝臓
メチルジゴキシン ラニラピッド 経口 腎臓
デスラノシド ジギラノゲンC 静脈注射 腎臓


カテコラミン製剤

急性心不全や慢性心不全に不可欠であるが特に、
その適応は急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)などが主であり、
投与も注射薬のみである 

ことから本当に心臓が止まりそうな状態の急性期の使用が主力である 
また薬剤管理の観点においても救急病院などでは不足を起こさないような注意が極めて重要である

NA前駆物質のドパミン(商品名:イノバン)またはドブタミン(商品名:ドブトレックス)は
陽性変時作用、不整脈の誘発作用は少なく 急性循環不全のfirst choiseとなり得る 
t1/2はその適応の特徴から 極めて短いと言ってもいい 

静脈注射薬のみという事もあるが1〜2分以内(効果発現までの時間が極めて短い)である

ドパミン 低用量でDA受容体刺激作用発現、て腎、冠動脈血流が増加、利尿作用が起こる 
中用量の場合心筋収縮力増加、心伯数増加が起こり α受容体刺激作用(自律神経薬の項参照)が現れる 
ドブタミン 強い強心作用、軽度な末梢血管拡張、陽性変時作用はない
DA製剤と異なりDA受容体刺激作用よりもβ1刺激作用が主力となる 

以下DA製剤と異なる点:末梢血管収縮作用が弱く昇圧作用は経度、心伯数増加作用が弱い、
腎血管拡張作用はない従って利尿作用は期待できない、肺動脈拡張作用を持つなど
血圧の維持が優先される場合 ドパミン>ドブタミン 

虚血性心疾患 ドパミン<ドブタミンを優先的に使用する事が望ましい


β1刺激薬

心臓におけるβ1受容体を選択的に刺激し、心臓の作用を強める
 

PDEV阻害薬

cAMPを上昇させ心臓の働きを強める


その他(心不全治療薬)

心不全の病態が発症する以前に心筋の収縮力低下、
心筋拡張機能低下に基づく心拍出量の低下、臓器血流の低下、血圧の低下が起き、
この生体内での働きに対して、電気的リモデリング、心筋リモデリング
(心拍出量の低下、臓器血流の低下、血圧の低下を是正するための電気的、心筋的フィードがかかる状態:恒常性とも似たものがある)それによってRASの賦活化や、アルドステロン分泌量の増大や、
交感神経系の賦活化などが起こる

だがこれらのフィードは末梢血管の過度な収縮、水分貯留、Na貯留、うっ血を引き起こし
それが心臓に負荷をかけ心不全の原因となってしまうそのため、
それらRASの賦活化や、アルドステロン分泌量の増大や、交感神経系の賦活化を抑える目的で、
電気的リモデリングのフィードのブロックに対して抗凝血薬、抗不整脈薬、RASのフィードを弱める目的でACE阻害薬Angiotensin-converting enzyme blocker、やその最終生成物で血管収縮作用、昇圧作用を持つAngiotensinUの受容体のblockerであるAT−Ublocker、β-blocker 抗アルドステロン薬を用いる
それによって過度な神経体液の活性は防がれる
 

ことからこれらの薬剤も併せて用いられる

以下各薬剤添付文書


ハーフジゴキシン KY  ジゴキシン KY ジゴキシン「 KYO」

ジゴシン

ジゴシン 注

ジゴシン シ エリキシルロップ

ラニラピッド

メチルジゴキシン「タイヨー」

ジギラノゲン

イノバン 注

イノバン 注 シリンジ

カコージン

カコージン D

カタボン

ドブトレックス 注

ドブトレックス キット点滴用

タナドーパ

プロタノール L注

ボスミン

エピペン

ノルアドレナリン

カルグート

アデール

アクトシン

ネオシネジン

エホチール 錠

エホチール 注

メトリジン

リズミック

コアテック

ミルリーラ

アカルディ

ハンプ

ノイキノン




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