痛風・高尿酸血症治療薬


病態

食物由来の尿酸が原因となって結晶が間接等に蓄積することで痛みを起こす。 

尿酸はプリン体(魚、肉、お酒などに含まれる)と呼ばれる物質の過剰摂取によってその最終代謝物である尿酸が多く生成されることで尿酸値が上がり痛風に至る。 また高尿酸血症は急性痛風関節炎、痛風結節、腎障害、尿路結石の原因となる 。

また動脈硬化のリスクを高めることも知られている 。


尿酸を減少させるためのアプローチとしては、尿酸の排泄を促進するもの尿酸の生成を抑制するものに分けられる。 投薬開始後は水分摂取量を多くする。痛風発作、高尿酸血症の合併症防止のためには、血清尿酸値は6mg/dlに留める。

また急性の関節炎による痛みにはNSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬の項を参照)を用いることが多く、ステロイドも用いられることもある(ステロイド系抗炎症薬の項参照) 血清尿酸値が7.0mg/dlを超え、同時に痛風発作、尿酸結節を伴う場合、薬物療法の適応となる。そういった症状がなくとも9.0mg/dl以上または、8mg/dl以上で腎障害、尿路結石、高血圧などがみとめられる場合、薬物療法を行う。

高尿酸血症では腎障害を併発し易い。逆に腎不全の場合、高尿酸結晶が高い確率で併発し易い。


痛風発作予防薬・痛風時疼痛緩和薬


コルヒチン(商品名:コルヒチン)は痛風発作の寛解、予防の適応を持つ 。

痛風発作時の疼痛緩和に用いられるのはNSAIDsでありインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジンなどの短期大量療法(NSAIDsパルス療法)を行う。 

NSAIDsの無効例、や多発性関節炎においては経口ステロイドの使用も考慮する。


尿酸排泄促進薬

尿酸排泄機能低下や腎機能障害例や尿路結石がある場合、またそれらの病状の既往がある場合に際して用いる。

薬剤にはプロベネシド(商品名:ベネシッド)、ブコローム(商品名:パラミジン)、そして汎用性の高いベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)がある 。

これらの薬剤はは尿細管における尿酸再吸収の阻害という。薬理作用を主として尿酸の排泄を促す 。

尿感における再吸収を阻害するため排泄される尿酸は自ずと上昇する。そこで尿管における尿路結石にも留意する必要がある。 

尿路結石は腎臓から排泄に至るまでの経路に結石が生じる病態であるが、過剰すぎる尿酸がその原因となる。 

尿酸排泄促進薬を使用する場合はそれらのリスクも考慮にいれ尿路のphを上げ(6〜7に維持)、中性側に傾けることによって過剰な尿酸による酸性化からの結石の生成の流れを防ぐ 。薬剤としては尿感のph改善の目的で酸性尿改善薬であるクエン酸K・クエン酸Na配合薬であるウラリットU:商品名を尿酸排泄薬に合わせて用いることが高尿酸に伴う2次的に発生する尿路結石による症状を防ぐのに有用であるとされている。


尿酸生成抑制薬

尿酸生成過剰型に対して用いる 。

尿酸排泄促進薬が尿細管における尿酸吸収を阻害し体液中の尿酸を減少させる薬理作用を持つのに対し、尿酸生成抑制薬は尿酸そのものが生成される過程を阻害する 。尿酸は上述したとおり 肉、魚、お酒に含まれるプリン体から生成される 。

その過程でキサンチンオキシダーゼという酵素によって前駆体であるヒポキサンチンやキサンチンから尿酸が生成されるが その過程をブロックする 結果として尿酸の値を下げる 。この点で尿酸排泄薬とは大きく作用が異なる 

薬剤にはアロプリノール(商品名:ザイロリック)があり 適応は 痛風、高尿酸結症を伴う高血圧症の高尿酸症の是正となっている。

尿酸排泄促進薬と尿酸生成抑制薬の分類作用機序について以下の通り。


尿酸の生成経路と痛風・高尿酸結晶治療薬の作用点

血液中  ヒポキサンチン→キサンチン→尿酸 左記の過程を促進する酵素キサンチンオキシダーゼを阻害する 尿酸生成抑制薬。近位尿細管 腎糸球体に排泄された尿酸は再吸収される 排泄された尿酸の再吸収を阻害する 尿酸排泄促進薬。再吸収部位以下での尿排泄経路 排泄される尿酸の瘤が増え尿管での尿酸が多くなると結石のできる可能性が多くなる 尿酸は酸性であるので尿管でのphをアルカリ側に傾ける 尿管結石阻害薬。関節組織 尿酸塩結晶が増加すると白血球White blood cellの一種である好中球が増加する 疼痛の発生を抑える目的でNSAIDsをまた場合によっては経口ステロイドを用いる 非ステロイド系抗炎症薬。


以下各薬剤添付文書

痛風発作治療薬

コルヒチン

尿酸排泄促進薬

ベネシッド

パラミヂン

ユリノーム

尿酸生成抑制薬 

ザイロリック

フェブリク

トピロリック

ウリアデック

尿酸分解酵素

ラスリテック







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