腎疾患用剤
病態
腎臓の働きは大まかに 血液中の老廃物や不要物質を取り出して 尿として排泄することであり その働きを行うのが血液の濾過作用や再吸収作用、である
腎動脈(腎臓に入ってくる血液の血管)から流入した老廃物や不要物質を含んだ血液中のうち一旦不要物質を尿細管に排出、
その後濾過のフィルターをを通過してしまった有用成分を再び吸収して腎静脈に送り込む 濾過作用の詳細は以下の通り
腎臓内に入り枝分かれした動脈(動脈は流れ込む側、静脈は流れ出す側)は細動脈となり細動脈は糸球体を形成する
この糸球体を構成する血管壁から血液中のたんぱく質以外の殆どの血漿成分が水分とともにフィルタリングされ糸球体嚢へと出ていく
糸球体と糸球体嚢を合わせて腎小体と呼ぶ この働きを通して腎臓に流れ込んできた血液は濾過され血中の蛋白を除いて濾過され
水分、血漿成分はそのまま通過していく その通過したものは尿細管を経由し腎盂に流れるが、
この途中で最初の「濾過」の段階でフィルターを透過してしまった 有用な成分である塩類、糖類、水分などが再び再吸収され排泄されず体内に留まる
尿細管は近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、という部位に分けられており それぞれの場所で再吸収される成分は異なっている
近位尿細管:アミノ酸、ブドウ糖、水分、ナトリウム、塩素
遠位尿細管:水分、ナトリウムの吸収、カリウムの排出
遠位尿細管は集合尿細管に繋がっておりここでも水分、ナトリウム、の吸収とカリウムの排せつが行われるが脳下垂体からのホルモン:アルドステロンが関わる
その分泌は脳下垂体からであり 体液中のナトリウムの増加 水分の増加によって放出は促される
またその逆の均衡状態になるとアルドステロンの分泌は抑えられる 慢性腎臓病CKD(chronic kidney disease)は
1、構造的あるいは機能異常が3か月以上持続する腎障害とされており、@腎の病理学的な異常A血液あるいは尿の検査値以上
B画像検査による腎の形態異常2、糸球体濾過量が<60ml/min/1.73m2が3か月以上持続(腎障害の有無は問わない)の
1か2かが当てはまった場合CKDとされている CKDは慢性腎不全に陥るリスクがある
また心血管障害CVD(cardiovascular disease)に対するリスクも高い CKDに対する効果が認められており一般的である療法として
生活習慣の改善、食事療法、高血圧の治療、尿蛋白、尿中微量アルブミンの減少、脂質異常症の治療、糖尿病・耐糖能以上の治療、貧血の治療、CKDの治療などといった
包括的な点に留意する必要がある
薬物治療
高血圧はCKD(chronic kidney disease)の病状進行における最大の危険因子とされている
降圧を促すこと(降圧薬の項を参照)はCKD(chronic kidney disease)の病状進展の防止、改善に効果があることは様々な先行研究によって明らかにされている
降圧目的のCKD(chronic kidney disease)の薬物治療にはACE阻害薬(angiotensin converting enzyme inhibitor)かARB (angiotennsinU recepter blocker)ATUblockerを使用
これらの薬剤の尿蛋白、尿中微量アルブミンの減少、腎保護作用、などによりCKD(chronic kidney disease)の症状緩和に大きく寄与する
ここでの注意点はACE阻害薬には腎排泄型が多いこと 腎排泄型はその代謝過程において必然的に腎臓に負担を耐える
であるので投与量への工夫を要する またARB(angiotennsinU receptor blocker)は肝代謝型であるので代謝過程において腎臓への影響はない
つまり腎障害の有無については投与にあたって留意する必要性なく 安全に使用する事が出来る
さらにこれらの薬剤と利尿薬の併用によってその降圧効果は上がることが明らかにされており 各種利尿薬とARB、ACEI、Ca-blocker、βーblocker、との併用が有効であるとされている 尿蛋白、尿中のアルブミンは病態で述べたとおり腎疾患の重要な予測マーカーであるがそれと同時に CVD(cardiovascular
disease)の危険因子でもある
これらの兆候が見られた場合ACEI(angiotensin converting enzyme inhibitor)を用いるとともに、ARB (angiotennsinU recepter blocker)ATUblockerを用いることが有用である
とされている また ジピリダモール(ペルサンチン)、ジピリダモール除放剤(ペルサンチン−L)塩酸ジラセブ(コメリアン)などの抗血小板薬を併用して用いる事がある
脂質異常はCKDにおけるCVDの発症リスクを高めるので留意する必要があると言える
糖尿病は生活習慣病の一種であるが重症化すると糖尿病性腎症を併発するそのため血糖のコントロールも腎障害CKDの悪化を抑制する
糖自体がCVDの危険因子であるので 注意が必要である 造血における腎臓の働きは重要であるCKDは腎性貧血を引き起こす
またそれはCVDの危険因子であるともされている エポエチンアルファ、(エスポー)やエポエチンベータ(エポジン)を用いる CKDは骨・ミネラル代謝にも影響を与える
また腎機能が低下すると アシドーシスとなり高K血漿を招く また上述した脳下垂体から放出されるホルモンであるアルドステロンはNAを吸収し、Kを排出させるが
その拮抗薬である抗アルドステロン薬(アルダクトンA)その他ARB、ACEIなども高K血漿の原因となる事がある
その際にポリスチレン スルホン酸ナトリウム(ケイキサレート)やポリスチレンスルホン酸カルシウム(カリメート)(アーガメイトゼリー)は
そのイオン交換樹脂過剰なK+とNa+、Ca2+と交換する事によって腎機能低下や薬剤のSide effectsに基づく高K血漿を改善する
その他腎機能低下に基づく尿毒症には吸着剤である炭素(クレメジン)を、代謝性アシドーシスには炭酸水素Na(重そう)を用いる
腎機能検査用薬
イヌリン(イヌリード)、インジゴカルミン(インジゴカルミン)など 検査値ナビも参考にして下さい
以下各薬剤添付文書
エポジン 注シリンジ750
ダイアニール PD 2
ダイアニール PD 4
ダイアニール N PD 2
ダイアニール N PD 4