対人認知


対人認知

人を対象とした知覚は物事の知覚とは異なりその過程を対人認知と呼ぶ。

初対面の場合、視覚情報である身体的特徴や大まかな内面的特徴により相手を認知する。

相手を認識(認知)する際の特徴としては以下の点が挙げられる。

1、対象となる人物を認知する際には時間的(過去のその人)、空間的要素(そのに関わる周辺の要因)が関係する。

2、対象となる人物は自分と同じ感覚を持っていると認知する。

3、対象となる人物を認知する際の認知者(受け取り手側)の要因が関係する。

基本的な帰属の錯誤(fundamental attribution error)(Ross,L.,1977)について、

行動からその人のパーソナリティーといった個人の傾向性を認知する際、ある種のバイアスが生じる事がある。

例えば他者の行動が明らかに外的な力である場合であってもその行動からパーソナリティーを認知する傾向にある。

印象形成(impression formation)について 

視覚やその他の感覚器から様々な情報をえて相手のパーソナリティー(パーソナリティーの項を参照)を推測、形成することを印象形成と呼ぶ。 印象形成に及ぼす影響について有名なものにアッシュ、S.E Solomon Asch(1907〜1996)が提唱したものがある。 アッシュは人がパーソナリティー印象を形成する際に得られた情報のそれぞれを等しく組み合あわせるわけではなくその中の中に含まれるいくつかの重要な単語が重要な影響を及ぼすとしまた、単語を聞く順序によって印象は異なるとした。

印象形成に大きな影響を与える単語を「中心特性(central trait)」と呼び、印象形成にあまり影響を与えない単語を「周辺特性(peripheral trait)」と呼び得られる情報の最初にある単語が印象を大きく左右する効果を「初頭効果」、得られる単語のうち最後の方にある単語が及ぼす効果を「親近性効果(recency effect)」とした 。

例えばアッシュは実験において 会った事のない人物の印象を形成する際に、2つの群に異なった情報、

1つ目の群に対しては「あたたかい、勤勉、批判力がある、実際的、決断力に優れている」 

2つ目の群に対しては「冷たい、勤勉、勤勉、批判力がある、実際的、決断力に優れている」

という情報を与えた。

実際には最初に提示された単語以外同じものであったにもかかわらず、

1つ目の群は肯定的な印象を、

2つ目の群は否定的な印象を、抱いた。 

この例は最初に提示された単語が与える効果の大きさ「初頭効果(primary effect)」と パーソナリティー印象形成において重要な単語の存在を示している。 

社会的スキーマについて

人が人に対する情報を処理する際の枠組みの1つを社会的スキーマと呼ぶ。「スキーマ」とはそれまで積み重ねられ体系化された認知者の知識構造の事である。知識体系を利用し他者を認知する際のパターンは2つある。1つ目は対象者の社会的カテゴリーを知識構造にあてはめトップダウンで処理を行うパターンである。2つ目は対象者の種々の行動を認知者の知識構造に当てはめ知識構造に照らし合わせボトムアップで情報を処理していくパターンである。

ステレオタイプについて

その人物をある特定の目に見える特徴から個々の特徴を考えることなく一定の社会的カテゴリーに分類しトップダウン的に自動的に個々人にあてはめる傾向。この様な認知は単純化されたものであり本当の意味で個々のパーソナリティーを捉える事とは異なる。この認知が生み出す結果がネガティブなものである場合、偏見へと繋がる場合が多い。

ステレオタイプの種類について

社会集団的ステレオタイプ

対象となる人がある集団に属している場合、その集団に付随する特徴がその個人の認知に強く働く。

社会的アイデンティティについて

社会的アイデンティティの特徴は3つある

1,類似性効果(assumed similarity effect)

2,外集団の統一性効果(outgroup homogentry effect)

3,内集団びいき(ingroup favoritism effect)

1、は自分と内集団が類似しているという思い込みである。

2、は外集団の人を皆同じ様に捉えてしまう事である。

3、内集団の人をより好意的に捉え、その人の行動も都合の良いように帰属する。

集団性の弊害について

内集団へのアイデンティティが高いものは自尊心がその集団に属している事から得られているので内集団をよりひいき目に見ようとする。また外集団に対してあら捜しを行ったりする。個人としては非合理的、かつ誤っていると考えられる行動でも集団性が高まれば実行されてしまう。

 




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