リスク認知における心理学
リスクとは「(リスク)=f(確率×大きさ)」であり「好ましくない事が起きる可能性の大きさ(確率)とその好ましくない事の結果の大きさ(損失の程度)」であるとされている。
リスクを認知し判断と意思決定をするプロセスは以下の5つの段階に分けられる。
1、リスクの認知
2、リスクイメージの形成
3、リスクの大きさの見積もり
4、リスクの評価
5、リスクコントロール
1、リスクの認知
例えば損失リスクについては関心や知識がないほど鈍感で楽観的であるとされている。そこには楽観主義バイアスが働く。例えば経済におけるリスクに関しては損失に関する情報(報道など)に多く接触するほど楽観性は低下すると考えられる。経済において恐慌がおこっったあとしばらくすると楽観的になり投資熱が高まり好況となるが再度、不況へと陥った後再度楽観的になる循環を繰り返す1つの要因にはこのような理由がある為かもしれない。
2、リスクイメージの形成
人はリスクを認知すると重大性や未知性、感情性や制御不能性といったイメージを作ることがわかっている。例えばメディアによってもたらされる何かの事件、事故や損失といった情報が与えられると恐怖を抱く。原発事故が報道されれば多くの人が放射線による破滅的なイメージを抱くであろうし、景気に関してのネガティブな報道がなされれば全財産を失うといったようなイメージを抱くであろう。
3、リスクの大きさの見積もり
人は通常起こりうるリスク(例えば先に述べた事件事故、損失など)に関して日常的に正確なデータや知識を常に持ち合わせている訳ではない。また迅速な評価が必要とされる場合が多い。その為私たちはリスクの起きる確率、程度の見積もりを実際には直感的に行なっている(ヒューリスティックス)場合が多い。ある事象に関してそのリスクの起こる頻度、確率を考えた場合、客観的データに基づくリスクの確率は変動していなくても類似した事件が起こったり、報道などで繰り返し情報が入ってきていればその事象を想起しやすく確率を大きく見積もるであろうし、その逆で時間的経過とともに想起する頻度が少なくなればその事象が起こる確率を低く見積もるであろう。そういった事からリスクの見積もりには実際には思い浮かべやすやといったバイアスが働いている場合が多い。
4、リスクの評価
人は利得の場面ではリスクを回避し確実性を求める傾向にありリスクを低く評価する。その反面損失のリスクにおいては確実性というよりむしろリスク志向的になることがわかっている。損失の程度が大きいほど更にリスクを取って損失を取り返そうとする思考が働いているからかもしれない。
5、リスクコントロール
1?4の段階を通じて損失リスクを低減するような対処行動をとる。
情報を収集し適切なリスクをとりそれを取り巻く状況をモニターしリスクを引き起こす原因となる物を除去するかどうかの判断を行う。