乳幼児期の発達について
乳幼児期の身体的発達について 胎齢(赤ちゃんが母体の中で過ごした時間)20週頃になると新生児の備えている原始反射のうち把握反射といって指や手のひらを押すと意識せずにつかもうとして指を握りしめる反射や、バビンスキー反射といっての裏を柔らかいものでなでると指を扇のように広げる反射がすでに認められる
基本的な反射の大部分が完成するのは周産期に入ってからである 周産期とはお産前後のことであり妊娠22週目から出産後7日のことをいう その他出生時に完成している反射として 下界からの刺激にちして手足を広げたり何かにしがみつくような動作を行うモロー反射がある モロー反射は生後約3,4か月で消失する また唇の周りに指などを触れると反射的に顔を向けて口を開く動作をする口唇探索反射があるこの反射も3,4か月で消失するとされている
微笑反応の発達 新生児には微笑反能が見られるが この微笑はうれしいからとかで笑っているのではなく 自然と反射的に笑っているのである 通常は出生直後には下界の刺激と関係なく起こすのが普通でやがて人の声(女性の声)に反応するようになるさらに生後6週目から、人の顔によって微笑反能が引き起こされるようになる この様に最初はどういった反応に対しても微笑みを見せるので無差別微笑と呼ばれている 3,4か月頃からは何かをわかった上でほほ笑むようになる
乳幼児の知覚 最近では新生児でも刺激の特徴を抽出する事ができ、特定の刺激パターンに対してまとまりの持った反応が出来ることがファンツやバウアーの研究で分かっている
乳幼児の視覚 ファンツの実験では生後10時間から6ヶ月までの新生児、乳児に6つの異なった刺激対象を見せ注視する時間を調べた 結果新生児・乳児は顔の書いてある刺激対象を比較的長くみていることがわかった
乳幼児の聴覚 聴覚に関しても新生児の時点から音のする方向に眼を向けたりする事が知られておりこの事によって色々なモダリティー感覚様相を別々に受容しているのではなくある程度連携して働いているという事が証明された また瞬きなどの変化を調べ音に反応しているかを調査すると生後1、2週間で大きい音、小さい音、高い音、低い音を聞き分けていることがわかり、また別の研究では単純な意味のない音よりは音節になって文章化されている方が好まれるし、男性の声よりも女性の声を好まれるという傾向があることが明らかにされている
奥行き知覚 乳児は3次元の空間をどのように理解しているのか それを研究したのがギブソンとウォーク(Gibson&Walk)である 彼らは視覚的断面を作り実験を行った 視覚的断面とは実際にはガラスで覆われていて平板であるが、地面の模様から奥行つまり断面になっているように見えるものである 結果この装置の中央に赤ちゃんをのせ高く見える方からと低く見える方から母親が読んだところ浅く見える側には乳児の75%がたどり着いたが深く見える側には8%ほどしかたどり着けなかった この事から乳児には奥行に対する概念があるという事が考えられる
共感能力 また乳児は共感的能力があり社会的参照を行っているとされているそれはギブソンとウォーク(Gibson&Walk)の実験において呼びかける母親が険しい顔の時とそうでない時に近づいてくる割合が異なっていたからである 乳児は他者の表情の参照を行っていることが明らかにされた