行動ファイナンス
ケインズ(Keynes,J.M)はかつて株価は需給関係によって決定するとしその過程において多くの人が他者の評価を参考にしていると評した。その一方で証券アナリストなどは企業価値(その企業が将来生み出すキャッシュフロー)によって決定されると考えている。
この2つの意見は一見、対立しているように見えるが双方ともに正しい部分があると言える。
例えば需給関係(非合理的な投資家も含む)で決定する株価は投資家からのキャッシュの流入を引き起こすであろうし、企業価値の向上は市場における需給関係にも影響するであろう。
非合理的な投資家はファンダメンタルから乖離した投資を行う事があるがその投資家の心理にはいくつかのバイアスがかかっていると言える。
自信過剰
投資活動において人は自分自身の予想に対して過度に自信を持ち楽観的になる一方で自分の予想と異なる他人の評価や予想はあまり気にしない傾向にあると言える。
また過去の大きな成功体験は自信過剰で楽観的な投資家の心理状態を生み出す。
何らかの分野で大きな成功を収めると他の分野でも自信過剰で楽観的な投資家の心理状態を生み出すと考えられる。
膨大な情報をえると投資の専門家と錯覚し自信過剰で楽観的な投資家の心理状態を生み出すと考えられる。
代表的バイアス
ある情報がランダムに起こる1つの小さなサンプルに過ぎないとしても基準値(もととなる確立)を無視しその小さなサンプルが起こった背景には何か構造的な理由があるに違いないと思い込む。
株式市場や不動産投資におけるバブルの原因となる事もある。
ハーディング
ある一定の成功を納め保守的になったり結果を予想するのが至極困難である場合ハーディング(横並び)の行動を取りやすい事が知られている。他者が多く投資するから投資する逆に多く売るから自分も多く売るといった様に他の投資傾向に追随しやすい傾向にあると言える。
損失回避
同じ額であっても利益を出した場合と損失を出した場合と喜びと悲しみは一致せず損失を出した場合の方がはるかに大きいと考えられる。合理的に手放した方が良いタイミングでも塩漬けにする行為はこの端的な例であると考えられる。