経済的格差が及ぼす児童の健康被害への影響
206qa90 江夏 泰二郎
【問題】
昨今の発展途上国の児童におけるエイズ罹患率の上昇の問題や、人身売買による長時間労働には多数の問題を引き起こし早急な検討課題となっている。表1.は世界のエイズ患者の状況であるが、死亡率、罹患率ともにアフリカが群を抜いて多い事が分かる。
またこれらの事はエイズによって両親をなくした子供いわゆるエイズ孤児を生み出し、その数は2000年だけで1300万人に達し、必然的にアフリカが多く全体数の95%を占める。これらの事実は2002年開催の国連子ども特別総会の中でも述べられており深刻な課題を残す事となった。
また世界での人身売買における割合も圧倒的にアフリカ、アジアの発展途上国に集中しており、国際労働機関ILO調べによると2億5千万人万人の子供(5歳から17歳)が何らかの労働に従事しているという報告がなされており(表.2)深刻な児童福祉上の問題となっている。
表.2 世界の子ども労働者の数(単位:人) |
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5-14歳 |
15-17歳 |
全体 |
経済活動に従事 |
2億1000万 |
1億4000万 |
3億5000万 |
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うち労働に従事 |
1億8600万 |
5900万 |
2億4500万 |
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うち危険な労働に従事 |
1億1100万 |
5900万 |
1億7000万 |
ILO調べ
【原因】
原因として考えられる事は国家間での経済格差の問題である。現在のグローバル化は国家間での輸出入の壁をなくし人、物の往来を上昇させた、しかしその反面いわば負の遺産として、貧困格差、が生み出された。所得の国家間での差は拡大し世界中でも多くの人たちは働いても貧しい生活を強いられている。
【解決に向けて】
国際連合の前事務総長アナン氏は2005年国連改革に関する報告書の中で富裕層への努力を呼びかけている。報告書の中で人類の6人に1人が1日1ドル未満で生活している。それは慢性的な飢餓、疾病、環境の悪化を生んでいるとも指摘している。また冨裕国に対して最貧国の対外債務を帳消しにし、発展途上国の輸出品に対しての障壁を撤廃すべきだと述べている。貧困国に対しての経済援助はODA(official development assistanceつまり公的な発展への援助)という形で行われている。参考までに図.1にその推移を示す。
図.1 日本のODA予算の推移
最近の主な動向としては今回のサミットでの2008年7月8日「アフリカにおける保健及び食料安全の保障上の課題に対する日米協力」、同日、「無償賃金協力」「ミャンマーに対する緊急援助」等がある。この様に国際レベルでの援助は行われているがこれだけの問題が起こっている事はそれでは不十分であるか末端の国民にまで届きわたっていない可能性があるという事になる。それらの解決のために先進国が、平和的介入を行うなどの試み、個人レベルではNGOなどの団体によるボランティア支援や基金の開設などつまり経済的な発展そしてそれによる経済格差の縮小がエイズ感染による死亡率の増加や、児童の労働に繋がるのではないか、と考えられる。