自己心理学


コフート、H Kohut,Heinz(1913〜1981)が提唱 フロイトの古典的精神分析の立場に立っていたが それまでのフロイトの考えである自己愛は「自己愛から他者愛への移行が正常に成しえなかった」として病理を生み出すとする考え方をしていたが コフートはフロイトのそれと異なった考え方を行った それは「自己愛と他者への愛は表裏一体である」とし肯定的に考えた また自身の臨床経験を通してそれまで否定的に考えられていた自己愛パーソナリティの中にも肯定的な側面があるものではないかと考えた そして神経症を含むあらゆる精神病理を自己の病理と捉える自己心理学を提唱した コフートが提唱した自己心理学の中核には自己対象、中核的自己、自己の双極性、自己愛の病理と治療といった重要な概念がある 「自己対象」とは、コフートが自己愛の定義とした「自分自身を愛する自己愛」、「自己対象を愛する自己愛」の中で自分にとって大切な他者、つまり心理的存在の為に必要な他者である これらの自己対象は人生のどんな時でも肯定的に働くとされている コフートは自己愛の発達は他者への愛の発達と同じく重要なものであると考えた 「中核的自己」とは自分が自分であるという自意識でありいわゆる自己愛である その発達過程には「誇大的自己」と「理想化された親のイマーゴ」という2つの方向性がある 「中核自己」は「理想」、「向上心」という大きい2つのカテゴリを持ち誇大的自己は向上心に親のイマーゴは理想に属する この様に中核自己が2つの方向性を持つことから双極自己と呼ばれる 「誇大自己」は共感的な親のもとで成長すると健全な自尊心や向上心の基盤となるがそうでない場合つまり非共感的な親の元で誇大自己の発達に失敗すると不健全な形つまり自己顕示欲が強く出たり強い傲慢さや横柄さへと成長する 理想化された親のイマーゴは親という表象(イマーゴ)や自己対象を理想化して同一化しようとする しかしその対象が非共感的であると不健全な発達をする このような事から分かるように不健全な発達を避けるためには共感的な親の存在や自己対象の存在が不可欠と考えられる






精神力動論へ戻る    心理学の話へ戻る