保険・年金・医療経済心理学の観点から
保険、年金、医療の問題について
心理学的アプローチから経済を読みとくことは社会、経済システムの設計の在り方について多くの示唆を与えてくれ「規範的経済学(社会、経済システムがどのようなシステムであれば望ましいか)」について多くの知見を与えてくれる。
ここで注意すべきは全ての人が必ずしも「合理的」と考えられる行動をとるとは限らないという事である。
リスク認知、で述べたようにリスクの認知では損失リスクについては関心や知識がないほど鈍感で楽観的であるし、損失に関する情報(報道など)に多く接触するほど悲観的になる。リスクイメージの形成する際にはリスク認知に沿って抱くイメージは大きく異なってもくる。
またリスクの大きさを見積もる際には多くの人は通常起こりうるリスクに関して日常的に正確なデータや知識を常に持ち合わせている訳ではなく確率、程度の見積もりを実際には直感的に行なっている(ヒューリスティックス)場合が多い。そしてリスクの評価においては人は利得の場面ではリスク思考を回避し確実性を求める傾向にありリスクを低く評価する。その反面、損失のリスクにおいてリスク志向的になる。
保険、年金、医療はリスク認知と関係が深いが全ての人が必ずしも「合理的」と考えられる行動をとるとは限らない。
多くの人が非合理的なリスク認知である場合、社会制度設計を行う単位である国の介入、対策(強制加入の保険など)が必要となる場合もある。