発達要因としての遺伝と環境
双生児研究や家系研究でも述べたとおり発達に及ぼす要因は「遺伝」なのか「環境」なのか 今まで議論が続いていた 時系列で見ると 心理学がヴントによって設立されたのが1879年、遺伝子研究の基となったメンデルの法則提唱が1865年塩基対ATCGアデニン、グアニン、シトシン、チミンの関連性AはTとCはGと必ず対をなす事についての発見が1950年その対が2重らせんを形成していることを発見されたのが1953年 人の遺伝子が完全に解読されたのが1966年である 従って色々なものに応用できるようになったのは少なくとも20世紀半ば以降と考えられる 現在では遺伝、環境の両方の要因を受けるものであるという事で落ち着いている もちろん議論が落ち着くまでには紆余曲折があり 発達に与える影響の要因は完全に環境にあるとする環境優位説、環境要因と遺伝要因の両方がその後の発達に影響する要因だとしたがそれは互いに関与するものではないとした加算的作用説、遺伝と環境が互いに影響しあって発達に影響を与えるとした相互作用説の立場に立ったものがある 環境優位説を唱えた代表的な人物はアメリカの心理学者ワトソン、J.B Watson,John Broadus(1878〜1958)であり行動主義の立場をとりSR理論を重要視したが「私に1ダースの健康でよく育った乳児と、彼らを養育するための私自身が自由にできる環境とを与えてほしいそうすればそのうちの一人を無作為に取り上げて訓練し、私が選ぶどのような型の専門家にでも育てることを保証しよう、そう乞食や泥棒にさえも、その才能、好み、傾向、適正、先祖の民族なしに」(1930)という言葉を残した この言葉から読み取られるように発達に与える影響は環境でしかなくまた、先祖の民族なしにといった事から発達にあたっての影響に遺伝は全く関係がないとしているのが解る
しかしこの時点で遺伝研究がどの程度なされていたかといえばショウジョウバエの遺伝研究がされていた程度である
加算的作用説は遺伝も環境も発達に影響するとしたものでシュルテン、W.Stern、William(1871〜1938)は精神的な発達において生得的な要因と、外部環境との協合の結果生じるとしたつまり遺伝と発達、両方の要因によるが、それは互いに独立して影響を与えそれが総合され発達においての知能や特質として表れるとした 現在では遺伝と環境が同方向に働き加算されさらに相互作用で強めあうという説に落ち着いている A.R,ジェンセンが提唱した環境閾値説が代表的なものであると考えられる