心の進化でダーウィンの進化論を考えることはとても重要なことです。
j人がどのような形で現在あるのか、という事に対する答えとしてダーウィンが19世紀中頃、生物の歴史を科学的に「自然淘汰進化」という理論で説明しました。地球上の生物を形成してきた経緯として1つの起源から枝分かれをし現在にいたるという人間と動物の連続性の理論です。
色々な事が明らかになり昨今では今の人は6〜700万年前にチンパンジーから枝分かれし進化した姿であると考えられています。その為、霊長類特有のつまり感覚の中でも色覚に優れておりまた同時に奥行き知覚感覚にも優れています。
ダーウィンの考えは人間は進化して今の姿にあるとして、とても大きなインパクトを与えましたが、これは遺伝子形質の変化の存在に言及しているという事ではないでしょうか。このような生物学的なアプローチが心の進化を考える上で必要不可欠でしょう。
人間と動物の連続性を考えると思考能力や知性も動物に存在する可能性があります。近年の「比較認知科学」で動物の高次の認知能力が少しづつ明らかにされてきています。最近のサルの実験を通した高次の「認知能力の研究」ではオスのサルが泣いている子がだれかわかるだけではなくその子の母親も誰か知っている事が明らかになっています。
こういった様に動物とヒトの連続性が考えられる様になりまた「比較認知科学」の研究により霊長類の中で人とその他の動物との共通点も多く見出されてきました。
他方、言語、文化、相互協力は人がもつ特有の能力であるとわかっています。
言語という点においては人は世界中どの民族、種族においても言語を使用します。それにより言語による複雑なコミュニケーションをとる事ができます。
文化という点で観察学習や模倣、教育を通じて世代をこえて知識や情報、発明や技術、法や制度を当たり前に享受しそのうえで生活しています。そうして作られた文化は物事の認識に強い影響を与えます。好きや、嫌い、常識といった概念は文化によってつくられています。世界観、社会観、人間観といった多くの概念もその裏にある文化の強い影響をうけています。
相互協力という点で人は助け合ったり、協力しあったりします。
言語、文化、相互協力を兼ね備えた人は高度な社会制度を生み出し「社会性」を獲得しています。
また人がもつ特徴として生物学的適応に向かう道筋が多様である事が挙げられています。
以上の事を改めて考えてみても心理学ではその発祥が哲学であったという経歴から人文学的なアプローチが行われてきましたが、科学的な研究が進むにつれて心が時代とともにどう変化しているかを考えてみると心理学的なアプローチからまた生物学的なアプローチからの解明が必要であるといえるのではないでしょうか。