第12章 記憶


記憶とは


記憶とはある時点で得られた何らかの情報をそれ以降にがたってから利用できるという利点があります。

情報は正しく記憶のなかに入る必要がありまた正しく保存されていることが必要です。そしてその保存されていた記憶が正しく取り出されることが必要です。

事前に得た情報を適格に使用するには情報が正しく記憶のなかに入る必要があるという点、正しく保存されるという点、正しく取り出されるという点が条件となります。


記憶の過程は 次の3段階に分けて考えられています。

1、符号化

2、貯蔵

3、検索

さて、それぞれについて説明します。

情報は必ずしもそのまま解釈されるわけではありません。

1、符号化とは情報を形でとらえるかです。例えば1192年であれば「いいくに」といったような作業工程をおこないます。また簡略化する事もあります。全体に何らかの物語をつけることもあります。

この例から私達は情報に何らかの意味付け、ひもつけをし、符号化を行っていることがわかります。

2、貯蔵とは1、符号化された情報を記憶に保存する過程のことです。

3、検索とは1、符号化→2、貯蔵をとおして保存された情報をおもいだす過程のことです。

では事前に得たであろう情報を思い起こせない場合なにがおこっているのでしょうか。

1、符号化2、貯蔵3、検索のいずれかの過程に何らかの不具合がおこっていることが考えられます。その具体的なものとしては以下の事があげられます。

2、貯蔵された情報にあらたな情報がはいると互いの情報間で干渉がおこることが知られています。最初に貯蔵された情報があとから貯蔵された情報の妨害をすることを順向感傷、その逆(あとから貯蔵された情報が最初の情報を妨害する)は逆光干渉とよばれています。そして2、貯蔵された情報をおもいおこすことができないTOT現象とよばれる現象もあります。3、検索がうまくいかない場合の現象です。


貯蔵とは記憶を保持する過程、また物事を思い出すときの過程を検索と呼びます。

対する忘却とは忘却の原因としては、他の情報がもともとあった情報を忘れさせてしまうことです。

これを干渉と呼びます。そのようにして形づくられた記憶には大きく分けて2つあります

1つは短期記憶で、

2つめは長期記憶です

短期記憶は電話番号を一時期覚えているようなもので容量も明らかにされています。

その容量は(この場合1つの言葉のまとまり)を1チャンクと呼んだとき、7±2チャンクと言われています

しかし、このような短期記憶も何度も繰り返すことで長期記憶に転送される場合があります。

それでは長期記憶とはどういったものでしょう。過去に経験した事柄を一生にわたって憶えているのが長期記憶です。

たとえば自分の名前がそうではないでしょうか?

忘却に関して忘却曲線があります。忘却曲線をみると1〜2日で記憶の保持が急速に低下することがわかっています。

そのことから半日〜1日が物事を忘れないようにするポイントと言えます。また長期的に記憶保持をしたい場合、半日〜1日うちに再度復習したら記憶の保持が回復します。そうして長期記憶となることがわかっています。




心理学の基礎に戻る   心理学の話に戻る