第11章 知覚


知覚とは


知覚とは感覚をとおしてはいってきた情報を主体的に処理し意味をもつものとして認識することです。

通常目に入ってくる形は様々な点や、線があります。それらは角や面を形成し形をつくっていますが私達の性質としてそれが「何であるか」という認識も同時に行います。たとえば全体として家が目に入ってきたら柱、窓、屋根としてとらえるのではなく全体として「家」としてとらえます。またタイヤ、ハンドル、としてではなく「車」としてとらえます。

では目に入ってきた情報を主体的に処理する場合、私たちはどのようにしているのでしょうか?

1つの目に入ってきた情報を認識する場合、入ってきた情報は「地」「図」に区別して知覚され「トップダウン処理」または「ボトムアップ処理」をとおして全体で1つのまとまり(家、車といったように)として認識します。1つ1つのパターンである柱や、窓、屋根を知覚して全体として家として認識する処理を行うことを「ボトムアップ処理」と呼びます。全体像を先に認識し1つ1つの部分を認識することを「トップダウン処理」と呼びます。


ウェルトハイマー(ゲシュタルト心理学)は知覚にいくつかのパターンをみいだしました。1、(近接要因)、2、(類同の要因、3、(閉合の要因)、4、(よい形の要因)5、(よい連続の要因)です。

1、は近い距離にあるものはまとまってとらえやすい性質です。

2、は同じ性質をもったものは同じようにとらえやすい性質です。

3、は閉じた形をよりまとまってとらえやすい。

4、は規則的な形を形成するものをまとまってとらえやすい。

5、はつながるように配置されたものはまとまってとらえやすい。


また図だけではなく私達は目に入ってきたものに奥行きを認識することができます。左右の目に生じる相対的な位置のずれ「両眼視差」をてがかりに奥行きを認識します。また遠くにあるものほどものが小さくとらえられる事、きめが細かくなる事「きめの勾配」、像が1点に向かって収束する事「線遠近法」遠くにあるものほどかすんで見える事「大気遠近法」などの性質も奥行きのてがかりとします。また遠くにあるものは早く、知覚にあるものは遅く移動する事「運動視差」も奥行きのでがかりとしています。


動きに対する知覚


私達は目に入ってくる情報の中で特に「動き」に対しては敏感であると言われています。目や頭を動かしても動いているものがわかるようになっています。

また目に入ってくる情報とは別に動いているものの情報をとらえていると言われています。形の知覚とは別に動きを知覚をおこなっています。

外界の動きを捉える働きとしては例えばネオンの文字などあたかも動いているかのように感じますが、これは数十の点がついたり消えたりすることで、あたかも動いているように見えるわけです。これを「仮現運動」と呼んでいます。その他、動きの知覚に関するものでは誘導運動、自動運動、運動残効があります。

そして対象とする物質をありのままとらえていない働きとして恒常性が知覚にも働いていることが解っています。

例えば、自分に近づいてくる人、物について考えてみると、眼にはものが大きくなっていっているはずですが人が大きくなったりとは考えません。これは大きさの恒常性と呼ばれるものです。

その他、対象物に動きが加わる限ると眼には形は変化して映るはずですが形が変化しているとはまず認識しません。これを形の恒常性と呼びます。その他、色の恒常性、明るさの恒常性があります。


知覚における恒常性というはたらきによって目に入ってくる情報が一定のものとして安定してとらえられていると言えます。





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